ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画6作品について

2021年12月22日(水)22:00~ツイッターのスペース(生ラジオ配信みたいなもの)にてゾンビ映画特集を組むことにした。

今回はジョージ・A・ロメロ監督のゾンビをテーマにした六作品を対象とする。
自分へのテキスト代わりに本記事をまとめたので、本記事を読むことで、ロメロ監督のゾンビ映画6作品の概要を知ることが出来る。

なお、ロメロ監督作品全般については過去ブログ「『ゾンビ』映画といえばこの監督!ジョージ・A・ロメロとその作品」にまとめたので時間があればお読みいただきたい。

本記事はロメロのゾンビ映画に特化した本「ゾンビマニアックス」などを参考に記載している。

ジョージ・A・ロメロについて

父親はスペイン生まれでキューバ育ち、母親はリトアニア人だった。

ペンシルバニア州ピッツバーグで活動を始めるまで、ニューヨークで育つ。

卒業後、短編映画やCMを撮影を始める。

友人たちと資金を出し合って(それだけでは足りず後から出資者を募った)製作した『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』がミッドナイトシアターで大ヒット

その後、イタリアのダリオ・アルジェント、特殊メイクのトム・サヴィーニと組んだ『ゾンビ』が大ヒット。

『ゾンビ』に続き、『死霊のえじき』、『ランド・オブ・ザ・デッド』、『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』、『サバイバル・オブ・ザ・デッド』といったゾンビ映画を製作する。それぞれの作品がその時代の風刺を込めた内容となっている。

また、CM出身だからなのか、編集のカット割りが細かくダイナミックな絵づくりに引き込まれる。

ロメロのゾンビ映画作品

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(1968)
ゾンビ(1979)
死霊のえじき(1986)
ランド・オブ・ザ・デッド(2005)
ダイアリー・オブ・ザ・デッド(2008)
サバイバル・オブ・ザ・デッド(2010)

以下入門者向けに個々の作品について紹介する。

 

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(1968)

 

原題: Night of the Living Dead
出演:デュアン・ジョーンズ(ベン)
ジュディス・オディア(バーバラ)
ビル・ハインツマン(墓地のゾンビ)

父の墓参りのために墓地に来た兄ジョニーと妹のバーバラ。
ジョニーは突然あらわれたゾンビに襲われ、逃げ出したバーバラは一軒家に逃げ込む。
そこで黒人のベンに助けれる。

咬まれたら感染し死者として復活し、弱点である脳を破壊されるまでは生きる屍して、人肉をもとめた徘徊するといういまのゾンビ映画にはかかせないテンプレートを作り上げた記念碑的作品

それまでのゾンビといえば、「ホワイトゾンビ」や「ブードゥリアン」なおブードゥの儀式により、死者が使役のために復活させられる流れであった。
その要素に吸血鬼の咬まれたら下僕と化す、肉の代わりに血を求める吸血鬼の要素が加わった新たなモンスターの出現であった。※カラーゾンビ映画のさきがけ「悪魔の墓場」では鏡に姿が映らないのは吸血鬼が元ネタか。

1957年ロメロはカーネギーメロン大学に通うルディ・リッチと、幼馴染のジョン・ルッソ(脚本家)などと出会い映画を作ることとなった。
当初は個人で600ドルを用意し、10人集めれば6000ドルで撮るという発想だったが、資金が足らないことに気づき出資者を募ることとなった。

ロメロの作品といえば、社会風刺を映画化するイメージがあるが、本作は単純に突然人間が災厄にまきこまれたら、人々はどういった行動をしていくのが描きたかったということである。
ゾンビ発生の原因にスポットが当てられないのも、そういった理由だからであろう。続く「ゾンビ」も同じように原因は不明で、サバイバルが中心に描かれている。

黒人を主役にしたのもオーディションでたまたま、目に止まったからという理由らしい。

本作では家にこもっているハリーとカレンとゾンビに咬まれて寝込んでいる娘の家族が出て来るが、父親役のカール・ハードマンと娘役のカイラ・ショーンは実の父娘だそうだ。

ゾンビ(1979)

 

原題:Dawn of the Dead
出演:ケン・フォーリー(ピーター)
ゲイラン・ロス(フランシーン)
デビッド・エンゲ(スティーブン)
スコット・H・ライニガー(ロジャー)

TV局につとめるフランは、恋人であるTV局のヘリのパイロット、スティーブンと彼の友人のSWAT隊員のロジャー、その同僚のピーターとともに、ゾンビの感染の広がるフィアデルフィアからヘリで脱出する。
途中立ち寄った巨大なショッピングモールを拠点にすることにした・・・

オールタイムベストであるゾンビ映画。ホラー映画耐性がなかった小さい頃、TVのCMを見て震え上がった。
やがて、中学校の同級生Mくんが録画したテレビ放送版を見て、「なんて面白い映画だ!」と思ったのが、この作品との出会いでありロメロのゾンビ映画との出会いでもある。

また、トム・サヴィーニを特殊メイクに迎えることで、人体破壊のオンパレードとなっている。

2019年11月末に本作の主要メンバーのうちケン・フォーリーとゲイラン・ロスが来日したイベントに参加してきた。

その時のイベントのもようを過去ブログ以下にまとめているので参照願いたい。

『ゾンビ(1979)』2019/11/30「ゾンフェス」レポート【前編】

『ゾンビ(1979)』2019/11/30「ゾンフェス」レポート【後編】

死霊のえじき (1986)

 

原題:Day of the Dead
出演:ロリー・カーディル(サラ)
ジョセフ・ピラトー(ローズ大尉)
ハワード・シャーマン(バブ)

科学者のサラは、いまや圧倒的にゾンビが蔓延する街の上空をヘリで生存者を探していた。
しかし、生存者は見つからず、彼ら生存者の拠点である、巨大地下施設に戻ってくる。
そこでは、軍人たちとゾンビを研究する科学者たちとわずかな食糧で共存する生活であった。
やがて、軍人と科学者の間で対立が深まっていく・・

本作の原案では、ゾンビを使って軍隊をつくろうとする支配者階級と、それに対抗するレジスタンスの対立を描く壮大なストーリーであった。
しかし、膨大な予算がかかることから、かなりのシーンが削られシンプルな内容で再構成された。

本作のトム・サヴィーニの特殊メイクは「ゾンビ」からさらに過激度を増し、地獄絵図を展開している。

また、本作に魅力を加えているのは、ゾンビを飼いならそうとして研究を続けるマッドサイエンティスト、ローガン博士と、彼に飼いならされているゾンビ”バブ”の存在であろう。l

ランド・オブ・ザ・デッド (2005)

 

原題:Land of the Dead
出演:サイモン・ベイカー(ライリー)
デニス・ホッパー(ポール・カウフマン)
ジョン・レグイザモ(チョロ)
アーシア・アルジェント(スラック)

ゾンビが蔓延する世界、人々は塀を作りゾンビに襲われないように生活をしていた。
そこでは、タワーに住み安全な暮らしをする富裕層と、スラムに住みゾンビのあふれる区域から物資を調達する貧民層の人たちが生活をしていた。

ユニバーサルスタジオやフランスの会社も製作として参加し、ロメロの作品としてはそこそこの予算を提供される映画となった。

本作はゾンビ発生から三年後の世界を描いており、人類はなんとか生存している。
その中で富裕層と、貧困層に分かれ、なんとか生き抜こうとしている貧困層に対し、ゾンビの災厄はなかったことのようにぜいたくな暮らしをしている富裕層の対比を描いている。

富裕層のトップを演じるのはデニス・ホッパー。

また、ロメロ監督の「ゾンビ」からの盟友であるダリオ・アルジェントの娘アーシア・アルジェントが出演しているのがよい。

また、好きなひとにはたまらない、「世界が燃えつきる日」のランド・マスターにも似た戦闘装甲車デッド・レコニング(死の報い)号も萌えポイントのひとつである。

なお、本作には銃などの武器を使い、ゾンビの群れを統率するビッグダディ(ユージン・クラーク)というゾンビが登場するのがユニークである。※統率するのは少しやり過ぎな気もするが・・

また、花火を打ち上げて、ゾンビに目をそらすというのも斬新なところである。

ダイアリー・オブ・ザ・デッド (2008)

 

原題:Diary of the Dead
出演:ミッシェル・モーガン(デブラ)
ジョシュ・クローズ(ジェイソン)

学生たちがピッツバーグ大学の映画科の卒業製作でホラー映画を撮影していた。
やがて、かれらは寮に戻ると、世の中でゾンビが発生しているということを知る。
ジェイソンはカメラでその事態を録画することを決めるが・・

ロメロ再び低予算のゾンビ映画を回帰した作品。
本作は手持ちカメラでの主観であるPOV形式で撮影されており、ドキュメンタリーを見ているような臨場感がある。

サバイバル・オブ・ザ・デッド (2010)

 

原題:Survival of the Dead
出演:アラン・ヴァン・スプラング(サージ・クロケット)
ケネス・ウォルシュ(リチャード)
ジャネット・オフリン(シェイマス・マルドゥーン)
ジェーン・オフリン(リチャード・フィッツパトリック)

ブラム島では、ゾンビを掃討しようとするオフリン一族とゾンビと共存しようとするマルドゥーン一族との間で対立が起きていた。
その島にサージたち州兵の生き残りたちが、安全な避難場所として島に逃げてくる・・・

「ダイヤリー・オブ・ザ・デッド」で悪人だったイメージの州兵サージが本作でも登場するが、本作ではそう悪人ではない。

ロメロは西部劇の巨匠ウィリアム・ワイラー監督の「大いなる西部(1959)」をベースにした作品を撮りたかったそうである。

2010年6月13日にホラー映画好きの仲間2人と池袋で鑑賞した。

おすすめ本

「ゾンビ・マニアックス」徳間書店

 

最後に

ツイッターのスペースでロメロのゾンビ映画特集をやるため自分への参考資料として急遽まとめたブログである。のちほど、時間があるときに色々と加筆していこうと思っている。

後半はゾンビ映画あるあるなどについて、フォロワーさんの意見をぜひ聞いてみたいもんである。
・歩くゾンビ、走るゾンビ
・ゾンビ食べ残し問題→ゾンビが食べ残すからゾンビが増える
・結局、ゾンビそっちのけで人間同士がいがみあう

ってな感じで、リスナーも我々主催者も楽しくやりましょう!

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