70年代のオカルトブームと「エクソシスト」3作品について

今回は「エクソシスト」1~3の三作品について、書いてみた。

きっかけは、ホラー映画好きの仲間たちと不定期に続けているツイッターのスペースで雑談会を2022年2月9日に開催することになったからである。

「エクソシスト」というタイトルは”悪魔払い師”の意味で、いたいけな少女に悪魔が乗り移り、汚い言葉を発し、神父たちエクソシストが悪魔祓いの儀式を行うという話である。数多くの後年のホラー映画にも影響を与え続けるショッキングな映画である。

本記事を読むことで、「エクソシスト」1~3作目のシリーズの概要を宣材などで知ることが出来る。

※とりいそぎで書いたのであとで手直しします。

エクソシストに続く続編を含めたシリーズは以下がある。

エクソシスト(1973)
エクソシスト2(1977)
エクソシスト3(1990)

 

エクソシスト(1973)

 

1973アメリカ、1974年7月日本で公開された。あまりのひとの入りに初回は時間を2時間繰り上げて7時からの上映となった。また、上映館であった丸の内ピカデリーは行列で一周まわるほどだった。上映時間は121分

あらすじ

イラクの遺跡発掘の調査に来ていたメリン神父は、悪霊パズズの像を発見する。
それは彼が10年前にアフリカで死闘を繰り広げ戦った悪霊であった。

そして、アメリカのワシントン。ロサンゼルスに自宅のある女優のクリスは撮影のため一人娘の12歳の少女リーガンと一緒にこの地を訪れていた。

リーガンは屋根裏部屋にあった、ウイジャ・ボードのキャプテンハウディと名乗る幽霊?に接触したのをきっかけにして、日に日に暴言をはくようになる。

異変に気づいたクリスはあちこちの病院の精神科へリーガンを連れていくが、最新技術を持つ科学の力でも原因はわからない。リーガンの症状は悪化し、より汚い暴言を吐き、暴れ、傷だらけとなっていく。

さじを投げた医師会のメンバーから提案された悪魔祓いの儀式を聞いたクリスは、わらにもすがる思いで地元のカラス神父にまずはリーガンを見てもらうよう頼み込む。

最初は半信半疑だったカラス神父。悪魔にとりつかれたリーガンに知らないはずの最近亡くなった自分の母親の話を聞いたカラス神父は儀式の経験者であるメリン神父の力を借りて悪魔祓いの儀式を行うこととなる。

息も白く極寒の部屋と化したリーガンの部屋に二人の神父たちは入っていく。そして悪魔祓いの儀式が開始される・・

解説・雑記

愛らしい少女が、目は落ちくぼみ、唇はからからにひび割れ、前身は傷だらけにり、卑猥で異常な言動をする姿は衝撃的だった。
息も白くなるような零下の部屋へ二人の神父が入っていくシーンは、決死の覚悟で強大な敵に立ち向かっていく孤独なガンマンたちのようである。

アカデミー賞は最優秀脚本賞と音響賞を受賞。

老齢のメリン神父を演じた当時まだ40代前半でディック・スミスの特殊メイクにより老人と化している。

フリードキンの過剰な演出の話は有名であった。カラス神父役のジェイソンを拳銃や空砲のショットガンを撃ち驚かせた表情を撮ったり、母親役のエレン・バーンスタインの倒れ方が甘いとピアノ線を装着しひっぱり倒し苦痛の表情を撮ったり、演技がはじめてだったダイアー神父役ウィリアム・オマリーのほっぺたをひっぱたいて悲しい表情をさせたという逸話がある。

悪魔の声をマーセデス・マッケンブリッジがあてており、最初はノンクレジットだったが自分の貢献をアピールしクレジットにのったそうである。

2000年ディレクターズカット版(132分)が上映される。これは”禁断の15分”と呼ばれる未公開映像を再編集して追加されたものでえある。悪魔の顔などのサブリミナルな映像やスパイダーウォークと呼ばれるリーガンが背面ブリッジしながら、二階の階段から口から血を流し下りてくる衝撃シーンが追加されている。

また、カラス神父が転げ落ちる階段は印象的であるが、ジョージタウンにある。

メインテーマはマイク・オールドフィールドの「チューブラ・ベルズ」

余談だが、この曲でマイク・オールドフィールドのファンとなり、ボーカル曲「ムーンライト・シャドウ」がお気に入りの曲となった。

エンディングの最初の曲はヘンツェが作曲した「弦楽のための幻想曲」の第四楽章。なかなか格好いい

スタッフ・キャスト

監督:ウィリアム・フリードキン
「フレンチコネクション(1971)」「恐怖の報酬(1977)」など
詳細は過去ブログ参照:「「エクソシスト」、「フレンチコネクション」、「恐怖の報酬」といった佳作を生み出す監督ウィリアム・フリードキン」

脚本・原作・製作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
製作総指揮:ノエル・マーシャル
撮影:オーウェン・ロイズマン:
「フレンチコネクション」「サブウェイパニック」「アダムス・ファミリー」など
特殊メイク:ディック・スミス
「血の唇」「小さな巨人」「ゴットファーザー」
「センチネル」「ディア・ハンター」「スキャナーズ」「ハンガー」など

音楽:マイク・オールドフィールド
ジャック・ニッチェ 「カッコーの巣の上で」「愛と青春の旅立ち」など

出演
リーガン:リンダ・ブレア
※過去ブログ参照:「動物保護団体を設立!『エクソシスト』の少女リーガンを演じたリンダ・ブレア」

リーガンの母親クリス:エレン・バースティン
カラス神父:ジェイソン・ミラー
メリン神父:マックス・フォン・シドー
ダイアー神父:ウィリアム・オマリー:映画では技術顧問。高校で22年間、神学と英語を教えていた。のちに神学と人類学の教授
キンダーマン警部:リー・J・コップ 「12人の怒れる男」など
シャロン(リーガンの母親の秘書):キティ・ウィン

 

エクソシスト2(1977)

 

あらすじ

あの「エクソシスト」の事件から4年後。もとに戻ったリーガンは精神病理学者タスキン博士の元で精神的なリハビリ治療を受けていた。
一方、教会の命を受けた、ラモント神父はメリン神父の死の真相を調査していた。やがてラモント神父はリーガンにたどり着く。
ラモント神父はタスキン博士の作った催眠状態による記憶同期の機械を使い、リーガンと感応しメリン神父の死の状況や、リーガンの中で再び悪魔が復活しつつあることを知る。
リーガンを救うため、かつてメリン神父により悪魔に打ち勝った少年コクモを探すためにアフリカへ向かう。

解説というか雑記(主に当時のパンフレットより)

「エクソシスト」が大ヒットし1975年から製作が始まる。

リーガンの中での天使(正しい心)と悪魔(悪しき心)の対決を描く

大量のイナゴが悪の象徴として描かれる。

当初タスキン博士は男性が演じるはずだったが、女性に変更となった。

映像の色彩に青と緑がないと不安をあおるということでこの二色は極力はぶかれた。

監督は本作を撮影中、熱病にかかり5週間に撮影が中断となった。

感想

子供のころ、TVでラモント神父が幻想の中でコクモと出会い針山を歩くシーンがショックだった。
このときにコクモが口から吐き出すのは目玉だと思い込んでいたが、吐き出すのはなにかの実みたいなものだった。

リーガンの住むマンションの上階のベランダシーンが美しい。鳩も飛ぶ!
手すりがとても低いのが気になった。

クライマックスのいなごがリーガンの旧住居を飛ぶシーンが迫力ある。どうやって撮影したのか気になる。

先日、本記事を書く(というかスペースをやるため)ためにさくっと見返した。子供のころはぜんぜん面白くなかったが、割と重厚なドラマで面白かった。
ホラー映画というよりSFファンタジーといった趣のある作品である。

スタッフ・キャスト

監督:ジョン・ブアマン
「惑星サルドス」「エクスカリバー」など
過去ブログ参照:「『未来惑星ザルドス』『エクソシスト2』など独特の感性をもつ映画作品。ジョン・ブアマン監督」

脚本:ウィリアム・グッドハート

撮影:ウィリアム・フレーカー
「ローズマリーの赤ちゃん(1968)」「ブリット」など
「ミスターグッドバーを探して(1977)」「1941(1979)」など4作品でアカデミー撮影賞ノミネート
「ザ・フラッシュ」の監督

音楽:エンニオ・モリコーネ

特殊メイク:※前作に引き続きディック・スミス

リーガン:リンダ・ブレア ※前作に引き続き出演
※過去ブログ参照:「動物保護団体を設立!『エクソシスト』の少女リーガンを演じたリンダ・ブレア」

ラモント神父:リチャード・バートン
「恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチ(1978)」「ワイルド・ギース(1978)」 「告白の罠(1978)」
「戦争のはらわた2(1979)」※シュタイナー役

タスキン博士:ルイーズ・フレッチャー
「スタートレックシリーズ:ウィン・アダミ」
「カッコーの巣の上で(1975)」:ラチェッド婦長。アカデミー主演女優賞
「ブレインストーム(1983)」「ストレンジ・インベーダーズ(1983)」
「炎の少女チャーリー(1984)」「スペース・インベーダー(1986)」など

メリン神父:マックス・フォン・シドー ※前作に引き続き出演
シャロン(リーガンの母親の秘書):キティ・ウィン ※前作に引き続き出演
コクモ:ジェームズ・アール・ジョーンズ

 

エクソシスト3(1990)

 

あらすじ

あの忌まわしい事件から13年たった後の話。ふたご座のシンボルが刻まれた首無し連続殺人事件を捜査るキンダーマン警部。捜査をすすめていく中で、キンダーマン警部はあの事件との関連を知っていく・・

解説・雑記

「エクソシスト」ですべて書ききったと思ったウィリアム・ピーター・ブラッティは、続編の脚本依頼を断った。
しかし1985に続編の原作である「レギオン(軍団)」を書き上げた。
そして、監督をつとめたのが本作である。

キンダーマン警部を演じたリー・J・コップに代わり、本作ではジョージ・C・スコットが演じている。
また、1作目でカラス神父を演じたジェイソン・ミラーが再びカラス神父として登場する。

1968年~1974年にかけて若いカップルを中心に5名以上が殺害された未解決事件の殺人鬼ゾディアックキラーがふたご座殺人事件の犯人のモデルとなっている。

スタッフ・キャスト

監督・原作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ :エクソシストの原作・脚本
「暗闇でドッキリ」の脚本
「トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン」の監督

音楽:バリー・デボアソン

特殊メイク:グレッグ・キャノム

特殊視覚効果:ドリーム・クエスト・イメージス

出演:

キンダーマン警部:ジョージ・C・スコット

ダイアー神父:エド・フランダース

ふたご座の殺人鬼:ブラッド・ダーリフ

患者X:ジェイソン・ミラー

 

 

最後に

そういえば、表題に書いた日本の「オカルトブーム」の話を書いてなかったので最後に。

1973年に「ノストダムスの大予言」が日本でも出版され、矢追純一のUFOの話やユリゲラーといった超能力者や、幽霊などの「オカルトブーム」が到来する。

邦画では1973年に「日本沈没」、エクソシストが日本で公開された1974年は「ノストラダムスの大予言」などが公開された、日本でも超能力ブームだった年である。

日本での「エクソシスト」はこういったブームのきっかけとなった作品であるといえる。

今回は本日のツイッターでの「エクソシスト」スペース雑談会のサブテキスト用として、急いで書いたので、もう少し手直ししていく予定である。

他にも「裸の十字架を持つ男」や「エクソシスト・ビギニング」といった作品があるが、それはまた別の機会にでも。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました