ドン・コスカレリ監督『ファンタズム(1979)』を久々に見た!

ドン・コスカレリ監督『ファンタズム(1979)』
ホラー要素だけでなく思ったよりエンターテイメントしている映画だと感じた。

鑑賞のきっかけは、昨日『ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷(2020)』公開記念配信のトーク生番組を見たときに、ゲストの大槻ケンジ氏が思い出のホラー映画について本作を挙げられていたからである。
この映画は私の子供の頃にテレビで遭遇して悪夢を見たトラウマ映画でもある。

本作のポイント

・夢なのか実際に起こっていることなのか少年悪夢を描いたようなストーリー
※子供の頃TVで遭遇したトラウマ映画
・監督ドン・コスカレリが2015年の『ファンタズムV:ザ・ファイナル』まで36年間撮り続けているシリーズの記念すべき1作目。
・劇場公開当時に宣伝された新視聴体験装置『ビジュラマ方式』とはなんだったのか?

映画について

ドン・コスカレリが監督、脚本、撮影、編集、制作するシリーズの記念すべき1作目。
アヴォリアッツの第七回国際ファンタスティック映画祭でも審査員特別賞を受賞している。

本作は夢なのか実際に起こっているか分からないような、悪夢を映像化したような作品である。
たしか1981年のテレビの月曜ロードショーで見たのが初見だった。主人公の少年マイクが体験する映像の中の世界を少年時代の自分もシンクロしてしまい、見た日の夜からしばらく悪夢を見て寝れなくなった。

初見時は以下が怖かった。

・人の頭に突き刺さり、凄い大量の血の噴水を噴き上げる銀色の球体
・黄色の血液を流れるトールマンの切断された指
・闇からわらわらと出てくる頭巾をかぶった小人たち
・衝撃的なラスト
・不安にさせるシンセサイザーの音楽
余談となるが、なぜかそのTV放送時期にCMでかかっていた『Uボート(1981)』のテーマ曲と本作がごっちゃになってしまいUボートのテーマ曲がこの映画のテーマ曲だとしばらく思い込んでいた。
以下は1作目と2作目の劇場パンフレット画像

 

久々に再見してみたら

・トールマンや頭巾をかぶった小人たちが割とユーモラス
・銀色の球体シルバー・スフィアのデザインや小人たちを製造する白い部屋が近未来っぽくSF感がある
・13歳の少年マイクの行動が過激すぎる。ショットガンの弾の火薬とハンマーを組み合わせて爆裂ハンマーを作成、ハンドガンをトールマンの車でぶっぱなす。など。
上記のことからホラー要素だけでなく、SF感やコミカルさや、アクションなどエンターテイメントとしている映画だなと感じた。

キャストについて

少年マイク(役者の名前が元ネタ?)役はマイケル・ボールドウィン。本作と同じドン・コスカレリ監督の『ボーイズ・ボーイズ(1978)』ではスケート・ボードの名手の役。TVドラマ『刑事スタスキー&ハッチ』にも出演していている。『ファンタズム』シリーズでは2作目以外は5まで全て出演している。

マイクの兄ジョディ役はビル・ソーンベリー。2作目から4作目まで欠席、5作目で再び登場する。

また、いい味を出しているレジー役は役名そのままレジー・バニスターが演じている。なんとなく『面会時間』『スキャナーズ』マイケル・アイアンサイドに似ていると思った。
ファンタズムシリーズには全作出ている他、ドン・コスカレリ監督の『ボーイズ・ボーイズ』、『プレスリーVSミイラ男』などにも出演しているドン・コスカレリ・ファミリーでもある。

本作で悪の化身トールマンアンガス・スクリム。彼もシリーズ全作に登場するアイコン的キャラクターである。惜しくも2016年1月に亡くなった。

ラベンダーの香りがする謎の女を演じるのはキャシー・レスター。彼女も『ファンタズムV:ザ・ファイナル(2015)』にも登場している。

音楽について

音楽は、耳に残るダークなシンセサイザーのメロディライン。アレンジによってはルチオ・フルチ監督の『ビヨンド』か『地獄の門』の劇中曲ように聞こえる曲もある。
近所のレコード屋でサントラレコードを見つけたときは嬉しかった。
※つい先日、中古レコードが1800円で売っていたのだが2枚同じのを買ってもしょうがないと思ったが、希少価値を考えれば買っておけば良かった。

ビジュラマ方式とは

公開当時、驚異の新視聴体験装置『ビジュラマ方式』で宣伝されていた。
ググってみるとこれは試写会で1回切り行われた方式で銀の玉を実際に吊って飛ばしたり、黒い頭巾をかぶった人影が劇場を歩き回ったりして画面から飛び出すことのようだ。
この『ビジュラマ方式』はカナザワ映画祭2013で再現されたそうである。※詳細は『シネマトゥデイ』さんの過去記事参照

TVスポット

映画宣材

 

最後に

久々に再見してみてホラー要素だけでなく、SF感やコミカルさや、アクションなどエンターテイメントとしている映画だなと感じた。
ホラー映画好きの仲間でも本作が好きな人も多い。

ドン・コスカレリが自ら一人で脚本、撮影、監督、製作を務めライフワークとしている独特な世界観やダークで幻想的なビジュアルを作り上げており、そこに惹かれのではないかと自分は思っている。

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