「2001年宇宙の旅」「未知との遭遇」などのSFX、VFXの巨匠ダグラストランブルが手がけた映画8作品

先日、2022年2月7日にSFX(特殊撮影:特撮とも言われる)やVFX(視覚効果)のスーパーバイザーであるダグラス・トランブルが亡くなった。

少し間が空いてしまったが、ダグラス・トランブルの関連作品8作品についてかんたんにまとめてみた。

本記事を読むことで、ダグラス・トランブルの関連作品について、当時の映画宣材とともにざっくり知ることが出来る。

関連作品は以下の通り

2001年宇宙の旅(1968)特殊効果
アンドロメダ・・・(1971)特殊効果
サイレント・ランニング(1972)監督
スター・ウォーズ(1977)特殊効果
未知との遭遇(1977)特殊効果 アカデミー視覚効果賞ノミネート
スタートレック(1979)特殊効果 アカデミー視覚効果賞ノミネート
ブレードランナー(1982)視覚効果アドバイザー アカデミー視覚効果賞ノミネート
ブレイン・ストーム(1983)監督
など

 

ダグラス・トランブル

1942年4月8日生まれ

父親は「オズの魔法使い」の特撮マンだった。

1964年の万国博覧会でトランブルが作成したドキュメンタリー「To the Moon and Beyond」を見たスタンリー・キューブリックが「2001年宇宙の旅」で彼を起用した。

「ブレインストーム」の映画の撮影中、ナタリー・ウッドが謎の死をとげたとき、映画業界をやめようと決意したそうである。

2022年2月7日に亡くなった。享年79歳

 

各作品の紹介は以下参照

2001年宇宙の旅(1968)

4人の特殊効果監督の一人として参加

木星に集まって来た謎の黒い直方体モノリスを調査するためにボーマン船長はディスカバリー号に乗って木星へ向かう。
しかし、ディスカバリー号に搭載されたコンピューター”HAL9000”の挙動がおかしくなる・・

CGの発達した現在みても、これをCGがないころの特撮で撮ったとは信じられない映像の数々。

監督、脚本:スタンリー・キューブリック
原作、脚本:アーサー・C・クラーク
出演:
ボーマン船長:キア・デュリア
HAL9000の声:ダグラス・レイン

↓大判チラシ

↓チラシ

↓パンフレット

 

 

アンドロメダ・・・(1971)

映像効果の一人として参加

ニューメキシコの小さな村に人工衛星が落下し、宇宙からの病原体がもとで、村の人々や調査に向かった軍隊も全滅してしまう。

戒厳令で封鎖された周辺地域。唯一生存していた赤ちゃんが病原体へのカギを握ると考え研究者たちが調査を始める。

原作は「ジュラシック・パーク」の原作者でもあるSF作家マイケル・クライトン

いまのコロナやオミクロンなど流行っている時代だからこそ見返したい映画。

未見のTVシリーズ「アンドロメダ・ストレイン(2008)」が気になっている。

監督:ロバート・ワイズ
原作:マイケル・クライトンの「アンドロメダ病原体」

↓変形チラシ

 

 

サイレント・ランニング(1972)

ダグラス・トランブル初の長編監督作品

地球上の植物はほぼ絶滅してしまった未来。
残った植物は宇宙船のドームのなかで育てられていた。
地球の政府から宇宙から戻るように命令が出て乗組員はみな歓喜するが、植物学者のローウェルだ浮かない顔をしている。
退去時に宇宙船ごとドームを爆破しろという指令だったのである。
そして、ローウェルが行動を始める・・

植物を育てるローウェルをサポートするロボット、ヒューイ、デューイ、ルーウィが愛らしく、またロボットの活躍に泣ける映画である。

公開当時は興行成績が良くない映画であったが、のちほどカルト人気を得て見直された作品である。

宇宙船のデザインは大阪万博のエキスポ・タワーの写真をトランブルが撮影し、その写真を元にジョン・ダイクストラが宇宙船の長い尾みたいなデザインでモデリングした。
また、この宇宙船には大量の日本製のプラモデルのパーツが使われた。

サイレント・ランニングとは軍事用語で、敵の探知に引っ掛からないように運航を止めることである。※チラシの裏面より引用

↓チラシ

 

 

スター・ウォーズ(1977)

いわずと知れたSF超大作である。
いずれ特集を組む予定なので説明は割愛する。

特殊効果の一人としてジョン・ダイクストラ、リチャード・エドランド、フィル・ティペットたちと参加。
一度、依頼は断ったそうだが、ジョン・ダイクストラ経由で再度依頼を受け承諾した。

監督・脚本:ジョージ・ルーカス
音楽:ジョン・ウィリアムス
出演:
ルーク:マーク・ハミル
ハン・ソロ:ハリソン・フォード
レイア姫:キャリー・フィッシャー
オビ=ワン:アレック・ギネス
ダース・ベイダー:デヴィッド・プラウズ

↓劇場公開時チラシ 二種

 

 

未知との遭遇(1977)

発電所に勤めるロイは謎の飛行物体と遭遇する。その後、ロイはつかれたようにUFOについて調べ始める・・・

第一種接近遭遇~第三種接近遭遇などと当時のUFOブームにマッチしたスピルバーグ監督のヒット作品。

フランスのUFO学者クロードとして映画監督フランソワ・トリフォーがカメオ出演している。

1980年にマザーシップの内部のシーンなどが追加された「完全版」が上映された。

監督:スティーブン・スピルバーグ
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
「脱出」「ロング・グッドバイ」
「続・激突!カージャック」「愛のメモリー」「ディア・ハンター」などの名カメラマン
音楽:ジョン・ウィリアムス

出演:
ロイ・ニアリー:リチャード・ドレイファス
ロニー・ニアリー:テリー・ガー
クロード:フランソワ・トリフォー

 

 

スタートレック(1979)

こちらも盟友ジョン・ダイクストラと共に特殊効果を担当。
最初は別のメンバーが担当だったが、最新の特撮に不慣れでベテランの二人が起用された。

スターウォーズ・シリーズとならぶSF人気作品の劇場版。

監督:ロバート・ワイズ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:
カーク船長:ウィリアム・シャトナー
ミスター・スポック:レナード・ニモイ

 

 

ブレードランナー(1982)

大勢いのヴィジュアルエフェクト(VFX:撮影中ではなく撮影後に入れられる視覚効果)のメンバーのスーパーバイザーとして参加

人類に反乱を起こしたアンドロイド:レプリカントと、それを刈る警察専属の捜査官ブレード・ランナーの一人デッカードとの対決の話

SF作家フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」が原作だが、昔読んだときはプロットだけ借用し映画とは別物だと思った。

監督:リドリー・スコット
音楽:ヴァンゲリス
美術デザイン:シド・ミード
出演:
デッカード:ハリソン・フォード
レイチェル:ショーン・ヤング
ロイ・バッティ:ルトガー・ハウアー

↓ディレクターズカット版のパンフレット

↓ファイナル・カット時のチラシ

 

 

ブレイン・ストーム(1983)

ダグラス・トランブルの監督作品

他人の記憶を伝達するヘルメット型の機械の実験により起こる悲劇。

他人の記憶を追体験するという映像は革新的だったが興行的には失敗し製作費の半分も回収できなかった。

「ウェストサイド物語(1961)」でヒロイン役など有名な女優ナタリー・ウッドが撮影の合間に元夫のロバート・ワグナーやクリストファー・ウォーケンたちとヨットで遊びに行き行方不明となり、翌日死体が発見された。真相は謎のままである。
これを期にダグラス・トランブルは映画からは一旦身を引き最後の監督作となった。

監督:ダグラス・トランブル
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:
マイケル:クリストファー・ウォーケン
リリアン博士:ルイーズ・フレッチャー
カレン:ナタリー・ウッド

 

 

最後に

こうしてダグラス・トランブルの関連作を並べてみると宇宙ものなどのSF映画の超大作に関わってきたのを改めて認識した。

「ブレインストーム」の後は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド(1993~)」といったテーマパークのアトラクションの映像の監督を行っている。

アカデミー賞の視覚効果賞に何度かノミネートされ、1993年にアカデミー科学技術賞を受賞している。

 

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