魂をなくした男たちのホラー・クライム映画。黒沢清監督の『蛇の道』を見た。

先日、DVDを購入した黒沢清監督の『蛇の道』を見た。

ブログで”「邦画で一番怖い作品を撮る監督はだれ?」わたしは黒沢清監督だと答える”という記事を書いたが『蛇の道(へびのみち)』も他の作品に漏れず、心をえぐる不安な映像が満載だった。

あらすじ

幼女誘拐殺人で娘を惨殺された宮下(香川照之)は、謎の協力者の新島(哀川翔)とともに、手をくだしたと思しき男を拉致するが・・・・

『蛇の道(1998)』について

傑作サイコ・ホラームービー『CURE(1997)』を撮った翌年に製作された作品。

『復讐 運命の訪問者(1997)』、『復讐 消えない傷痕(1997)』の復讐シリーズで主演を務めた哀川翔とタッグを組んでいる。

復讐シリーズの続編として撮影される予定だったが、配給が変わったことにより、哀川翔の役名が変更され、キャラクター設定も少し変更されている。

また、半沢直樹シリーズなどで、いまや貫禄のある俳優、香川照之が若いのに驚いた(いまから20年以上前の作品なので当たり前なのだが・・)。黒沢監督とは『トウキョウソナタ(2008)』や『クリーピー 偽りの隣人(2016)』などでタッグを組むこととなる。

この香川照之演じる宮下がしだいに壊れていく演技も見どころである。

DVDに同梱されていた劇場用チラシ

拉致していく悪者たちの証言がそれぞれで食い違っておいる。
さらに、謎の協力者の新島がなぜ、宮下を手伝っているかも、わからない。

さながら黒澤明の『羅生門(1950)』のような展開だ。
見ているこちらは真相が気になってくる。

『CURE』と同じ時期にとったころもあり、似た演出も感じられた。魂をなくした空っぽな人間の描き方が上手い。

なお、脚本は『リング(1998)』『霊的ボルシェビキ(2018)』の高橋洋だけに、犯罪映画だがホラー要素が強い。

特に宮下と新島に拉致される組の親分である桧山(柳ユーレイ)の妻?情婦?の”コメットさん”と呼ばれるキャラクターがホラー風味でよい。

杖をつき片足を引きづりながら、歩くさまは死人のよう。また、武器として杖に刀が仕込んであるところも女性版”座頭市”のようである。

他の方も言及しているレビューを見かけるが、北野武監督の『ソナチネ(1993)』や石井隆監督の『GONIN(1995)』のように、いかにあっけなく訪れてしまう死が淡々と描かれている。

DVDに同梱されていた劇場用チラシ

最後に

本作の続編として同じ黒沢清監督の『修羅の狼 蜘蛛の瞳』も見た。

こちらも哀川翔演じる新島のキャラクターの映画だが、『蛇の道』とは話の関連性がうすい。

空虚な生活を送る新島に学生時代の友人(ダンカン)が近づき、バイオレンスな世界に戻ってくるという話だ。

脚本に高橋洋がかかわってないためか、ホラー色はうすまっており、あまりにシュールな内容に笑ってしまう犯罪アクションものとなっている。

やはり、ホラー色の強い『蛇の道』の方が好きである。

ラストシーンが特に恐ろしい。
宮下の目に映っているものが想像すると、恐ろしすぎる・・・

 

 

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