イタリアンホラー映画のさきがけとなり、ジャーロ映画を開拓したイタリアの監督マリオ・バーヴァ

イタリアンホラー映画のさきがけとなりジャーロ(もしくはジャッロ)画の生みの親とも言えるイタリアの監督マリオ・バーヴァの作品について所持している映画ソフトで紹介!

本記事を読むことでマリオ・バーヴァのプロフィールと作品を簡単にざっくりと知ることが出来る。

<ジャッロ映画とは>
1920年代~1930年代にかけて出版された黄色の表紙(ジャーロ(もしくはジャッロ)はイタリア語で黄色)のペーパーバックが元となっている。主に犯罪・サスペンス・ホラーといった題材が書かれており、こういったスリラーを扱った1960年代から作られるようになった作品をジャッロ映画と呼ぶ。
ダリオ・アルジェントやマリオ・バーヴァの作品などに多い

マリオ・バーヴァ

マリオ・バーヴァは1914年7月31日にイタリア北部ミラノの南西の沿岸の街サンレーモで生まれた。

父親のエウジェニオ・バーヴァはイタリアの映画の撮影監督だった。

父親の影響もあり、特殊効果の才能が評価され、撮影監督としてキャリアを積んでいく。

リッカルド・フレーダといった数人の監督たちの元で撮影監督をつとめている。

モノクロで撮られた「血ぬられた墓標(1960)」で、英国の女優バーバラ・スティールを迎えホラークイーンとして有名にする。

この作品はモノクロであったが、マリオ・バーヴァが得意としていたのはカラー作品での照明やカメラワークである。

「知りすぎた少女(1963)」や「モデル連続殺人!(1964)」といった作品でジャッロ映画のスタイルを作り上げた。

息子のランベルト・バーヴァも映画監督で1965年以降、マリオの作品をアシスタントとして手伝っている。※ランベルト・バーヴァの過去ブログはこちら

ランベルト・バーヴァは後年、代表作である「デモンズ(1985)」を作っている。

1980年4月27日に逝去した。遺作はダリア・ニコロディ主演の「ザ・ショック」

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主な監督・出演作品

I Vampiri:吸血鬼(1957) :リッカルド・フレーダと共同監督
カルティキ(1959):リッカルド・フレーダと共同監督
血ぬられた墓標(1960)
知りすぎた少女(1963)
ブラック・サバス 恐怖!三つの顔(1963)
白い肌に狂う鞭(1963)
モデル連続殺人!(1964)
バンパイアの惑星(恐怖の怪奇惑星)(1965)
呪いの館(1966)
ナイヴズ・オブ・ジ・アベンジャーズ(1966)
黄金の眼(1968)
ロイ・コルト&ウィンチェスター・ジャック(1970)
ファイブ・バンボーレ(1970)
クレイジー・キラー 悪魔の焼却炉(1970)
血みどろの入江(1971)
フォー・タイムズ・ザット・ナイト(1972)
処刑男爵(1972)
ラビッドドック(1974)
ザ・ショック(1977)
マリオ・バーヴァ 地獄の舞踏(2004):ドキュメンタリー。出演
など

作品紹介

I Vampiri:吸血鬼(1957)

血を抜かれた若い女性の死体がセーヌ川で見つかる。
これをきっかけに次々と起こる殺人事件をめぐる物語。
リッカルド・フレーダが監督として撮影していたが、製作メンバーと喧嘩をしてやめてしまい、カメラマンだったマリオ・バーヴァが完成させた。

ジャンナ・マリア・カナーレ、カルロ・ダンジェロ、ダリオ・ミカエリスが出演。

日本ではソフト未発売。

カルティキ(1959)

こちらもリッカルド・フレーダとの共同作品。
主に撮影と特撮を担当する。

カルティキと呼ばれる古代の破壊神が甦るモンスター映画

カルティキは「ブロブ」や「人喰いアメーバの恐怖」のアメーバ状の生物

血ぬられた墓標(1960)

磔刑に処せられている若い女(バーバラ・スティール)、まわりには覆面をかぶった筋骨たくましい男たちと全身フードをかぶった教団の一族。
宗教裁判により女は魔女と認定されたのだ。

女の顔にあてがう。仮面の裏には鉄くぎが無数に映えている。

女は最後に呪いの呪詛を吐く。「お前の一族に復讐してやる!」と。

女の顔面に鉄くぎの仮面が木づちで打ち込まれる・・
女の顔面から血が噴き出す。

彼女の霊魂が未来で甦り、彼女を嵌めた一族に復讐するという話。

なんとも衝撃的な開幕で始まるホラー作品。ホラークイーンとよばれるようになったバーバラ・スティールの演技が見どころ。

知りすぎた少女(1963)

ヒッチコックの映画のようなサスペンススリラー。

アメリカからイタリアへ旅行でやってきた若い女性ノーラが巻き込まれるプロットはダリオ・アルジェントの「サスペリア」「フェノミナ」の元になっているのかも。

ブラック・サバス 恐怖!三つの顔(1963)

「電話」「吸血鬼ウルダラク」「一滴の水」の三作品のオムニバス。

マリオ・バーヴァの色彩感覚とセットが優れている作品で、特に「吸血鬼ウルダラク」「一滴の水」の舞台セット、カメラワークや照明が素晴らしいので必見!

「一滴の水」に登場する病床に伏す、ミイラのような老婆の怖さが、夢に出てきそう・・

フランケンシュタイン役者ボリス・カーロフなどが出演している。

白い肌に狂う鞭(1963)

SM映画?と思うような背徳的な感じのタイトル。
幻想的かつ官能的な内容で殺された暴力的な男爵ケルトが悪霊として蘇り、かつての恋人の義妹ネヴェンカを鞭打ち苦しめる。

個人的に好きな古城を舞台にした耽美な作品。

吸血鬼ドラキュラ役者クリストファー・リー主演。ドラキュラ役とはまた違った恐怖の象徴を演じている。
ネヴェンカはダリア・ラビ

モデル連続殺人!(1964)

ファッションスタジオでモデルの美女たちが次々と黒衣の男の毒牙にかかっていく・・・

冒頭の人物紹介をしていくオープニングタイトルの極彩色の照明による色彩美が素晴らしい。どことなく「サスペリア」みたいなアルジェント映画感があるので、アルジェントは影響を受けているんではないかと思う。

バンパイアの惑星(恐怖の怪奇惑星)(1965)

「エイリアン(1979)」にも影響を与えたと言われる、知的生命体とアクセスしようとした宇宙船の船員たちが巻き込まれる恐怖。

鑑賞後のいやーな感じも昔のSF映画によくあるパターンでいい。

呪いの館(1966)

屋敷や街にたびたび現れる少女が死神のようで怖い。
バーヴァの作品の中では一番、不気味な作品

誕生日にツイッターの友人フォロワーさんにBlu-rayを頂いた。その節はありがとう!!

黄金の眼(1968)

覆面の怪盗ディアボリックが活躍する活劇。
「黄金の7人」や「ルパン三世」のようなクライムアクションを彷彿させる。

ヒロインのマリサ・メルが不二子ちゃんばりにセクシーで大好きな作品。

これは残念ながら、国内ではソフト化されていない。
※かつてCSホラーTV(いまはない)で字幕付きで放送されたことがある。

ロイ・コルト&ウィンチェスター・ジャック(1970)

マリオ・バーヴァによるマカロニ・ウェスタン。
見たけどあまり内容の印象がない。

ファイブ・バンボーレ(1970)

豪華な別荘に集まった男女。彼らはつぎつぎと色々な手口で殺されていく・・・

マリオ・バーヴァのスリラー作品の中では印象が薄かった。

クレイジー・キラー 悪魔の焼却炉(1970)

ファッション業界の実業家でなにひとつ不自由のない男だが、彼の邸宅にはウェディングドレスを着た大量のマネキンがあった。彼には異常な性癖があった・・

国内ではVHS止まりでなかなか国内でディスク化されなかった作品。今回の没後40年のBOX発売でブルーレイ化された。

血みどろの入江(1971)

入り江近くの別荘でつぎつぎと起こる殺人事件

顔面に刺さる斧!「13日の金曜日」に影響を与えたと言われる作品。

007シリーズ「サンダーボール作戦」のボンドガールのクローディーヌ・オージェ主演。

処刑男爵(1972)

イタリアの古城近くの田舎町、かつて”処刑男爵”と呼ばれる残虐な男が魔女を火あぶりにした。
ここの城主クライスト家の子孫のピーターは自分の主事を調べるために城に戻るが、死んだはずの”処刑男爵”が再び現れる・・・

ジョゼフ・コットン、エルケ・ソマー主演

新エクソシスト 死肉のダンス(1973)

観光に来ていたリサは、道に迷ってしまい屋敷に身をよせる。そこでリサは屋敷で起こる連続殺人や不思議な出来事に巻き込まれる。

「リサと悪魔」は本作のオリジナルバージョン。
映画「エクソシスト」大ヒットの影響で、悪魔払いシーンなどが追加されたのが本作。

テリー・サバラス、エルケ・ソマー、シルヴァ・コシナが出演

ラビッドドック(1974)

製薬会社の給料の輸送車から金を強奪した4人組の強盗団、仲間を1人殺されるも女性1人を人質に取り、警官隊の包囲網を車で突破する。

そして、車の乗換のため、強奪した車には病気で搬送中の子供と父親がのっていた。

強盗団3人と女性と病気の少年を抱えた父親の6人の恐怖の旅が始まる。

これも今回初ディスク化作品。見たかったので単品でディスクを購入した。

ザ・ショック(1977)

マリオ・バーヴァの遺作。ほとんど息子のランベルト・バーヴァが撮ったのではないかと言われているが、子供の頃にふるえあがるような怖いテレビCMを見たので印象深い。

一番最初にマリオ・バーヴァを知った作品。

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マリオ・バーヴァ 地獄の舞踏(2004)

マリオ・バーヴァの作品映像が集められており、入門用として最適なドキュメンタリー。

ダリオ・アルジェント、ロジャー・コーマン、ジョー・ダンテ、ジョン・ランディス、タランティーノなど影響を受けた監督のインタビューも貴重!

没後40年 マリオ・バーヴァ大回顧Blu-ray BOX

先日、「没後40年 マリオ・バーヴァ大回顧」ということでマリオ・バーヴァ作品の一連のBlu-rayボックスがキング・レコードより発売された。

単品でバラ売りもされている。少しお値段はお高めであるがそれまでに発売されていたDVDが廃盤・プレ値がついている中でマリオ・バーヴァの作品を揃えるには最強のBOXである。

わたしは大体、DVDで持っているので、見たかったクライム・サスペンスの「ラビッド・ドックス」のみ購入した。

<第一期>

血ぬられた墓標
ブラック・サバス/恐怖!三つの顔
呪いの館
知りすぎた少女
ナイヴズ・オブ・ジ・アベンジャーズ
ファイブ・バンボーレ
ロイ・コルト&ウィンチェスター・ジャック

<第二期>

処刑男爵
リサと悪魔
血みどろの入江
ラビッド・ドックス
新エクソシスト/死肉のダンス
フォー・タイムズ・ザット・ナイト

<第三期>

白い肌に狂う鞭
モデル連続殺人!
クレイジー・キラー 悪魔の焼却炉

動画配信

マリオ・バーヴァの作品は、U-NEXTで大量に配信されているので、加入を検討してみるのもいいかも知れない。31日間は無料なので視聴してみてあわなければ解約すればよい。

「血濡られた墓標」「血みどろの入江」「新エクソシスト」など・・・

<U-NEXT>

最後に

イタリアンホラー映画のさきがけとなりジャッロ映画の生みの親とも言えるイタリアの監督マリオ・バーヴァの作品について所持している映画ソフトで紹介した。

ダリオ・アルジェントからイタリアンホラーにきょうみを持ち、さらにそのルーツを辿っていく過程でマリオ・バーヴァの作品に興味を持った。

なかなか手に入らない国内作品をこつこつと集めていき、国内で発売されているソフトは大体集めた。

最近、Blu-rayBOXが発売されたので昔ほど入手は困難ではないだろう。※予算的に厳しいことはあるがw

マリオ・バーヴァで特筆すべきは撮影監督で特殊効果も得意としたことから培われた、カメラワーク、照明による色彩などによる幻想的で美しいな絵作りである。
こういった映像美の作品の中でおすすめなのは「ブラックサバス/恐怖!三つの顔」「モデル連続殺人!」あと「血塗られた墓標」の冒頭シーンダリオ・アルジェント監督の「インフェルノ」でも特殊効果として招かれ、美しい撮影をしているので必見だ!

 

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