『アリス・スウィート・アリス』のブルーレイを簡単にレビュー

合同会社是空さんから販売された『アリス・スウィート・アリス』のブルーレイを鑑賞。

購入したポイントは以下の通り

・35ミリネガフィルムを元に2Kレストアされた美麗な映像
・90分にもわたる特典映像
(監督、主演者のインタビュー、ロケ地映像、削除シーンなど)

・アメリカ公開版『Holy Terror』の収録
・解説ブックレットがついてくる(初回限定のみ)

初回限定仕様のみ以下の特典がついてくる

・VHSデザインのアウタースリーブケース
・12ページの解説ブックレット(ライターのナマニクさん渾身の書き下ろし)

あらすじ

姉のアリスと妹のカレンの姉妹。アリス奇行が目立つ問題児。妹や周りの住人や学校といつもトラブルを起こしている。
やがて、妹の初めての聖体拝領(First Communion)の儀式の際に衝撃的な事件が起こる。どう見てもアリスが怪しいが犯人はアリスなのか・・・

 

映画について

1977年の映画。
本作はカレン役で後年、名の売れたブルック・シールズの出演と美少女ぶりが(というか間違いなく美少女なのだが)取り上げられ、海外の本作の予告編でも彼女をメインに売られている。
しかし全編を通して異様な雰囲気をかもしだすのはアリス役のポーラ・シェパードの演技である。
表情やしぐさの怪演が凄い。

また、不気味な人形や教会の聖像が多く登場し本作の異様さを増している。
教会のマリア像やキリスト像など聖像も生きているかのように撮られていて殺人事件に右往左往する人間を見透かしているようだ。

あとは監督も言及しているニコラス・ローグが監督したスリラー『赤い影(1973)』の影響もみられ赤や黄色のレインコート、黄色のレインコートに流れる赤い血のコントラストにも目を奪われる。

犯人が犠牲者に包丁をなんどもつきたてるシーン、特に階段で刺されるシーンが痛々しい。ヒッチコックの『サイコ(1960)』を想起させる。

余談だがカレンが乗る自転車のスポークにトランプをはさんでいるシーンでジョン・カーペンター監督の『マウス・オブ・ザ・マッドネス(1994)』のあるシーンを思い出した。

本編とアメリカ公開版『Horry Terror』の微細な違いの内容はナマニクさんのブックレットに記載されている。

出演者・スタッフについて

・姉アリス役のポーラ・シェパード。出演時は19歳だったということも驚いた。後年1982年に『リキッド・スカイ』というカルトSF映画にも出演。
・妹カレンはブルック・シールズ『プリティ・ベイビー(1978)』『青い珊瑚礁(1980)』『エンドレス・ラブ(1981)』などに出演し、日本でも人気が高く映画雑誌ロードショーやスクリーンなどの巻頭カラーグラビアを飾った。
・母親役はリンダ・ミラー『ジャグラー・ニューヨーク25時(1980)』などにも出演。
監督はアルフレッド・ソウル。映画監督としては他の作品は聞いたことはなかったがTVシリーズ『冒険野郎マクガイバー』『ヴェロニカ・マーズ』などのプロダクションデザイナーを手がけている。

過去に発売されたビデオについて

1977年の映画であるが、10年ぐらいかかって1980年代にVHSが発売された。
VHSにはジャケットが2種類あった。かたやVHSデザインのアウタースリーブケースのデザインの物と私が所持している写真のものである。
こちらの方はとてもスラッシャー映画には見えないデザインである。そして、なんとも字幕の色が黄色で初見時は驚いた。

↑初回特典のVHSデザインのアウタースリーブ。VHS発売時はこのデザインだった。

 ↑私が所持しているVHSのデザイン

 

最後に

↑劇場公開向けチラシ。今回のブルーレイリリースはこのミヤジー・スコリモフモフスキさんの恰好よいデザインで統一されている。

70年代のこのカルトスラッシャームービーを数多くの特典満載で世に送り出してくれた是空さんや関係者に感謝!

 

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