『2001年宇宙への旅(1968)』の続編『2010年』をブルーレイで鑑賞。
ブルーレイを購入した理由は以下の通り。
・『2001年宇宙の旅』で事故の原因、その後の展開が気になった。
・主演のロイ・シャイダーがお気に入り。
あらすじ
2001年木星探索に出たディスカバリー号で発生した謎の事故を原因を解明すべく、9年後の2010年にソ連の宇宙船レオーノフ号に乗り込んだフロイド博士。
木星軌道を浮遊するディスカバリー号と接触し再びHAL9000が目覚める・・・
また、再び謎の直方体モノリスと接触を試みることになる。
映画について
1984年に作成されたSF映画。アーサー・C・クラーク原作の名作『2001年宇宙への旅(1968)』の9年後の2010年を描く続編。
いまとなっては2020年になってしまい、まだ科学は追いついてはいない。
当時は冷戦中で、映画の中でもアメリカとソ連が対立した構図となっている。宇宙船ではソ連のメンバーとアメリカメンバーでチームを組むが、宇宙船内でも対立の雰囲気がある。ミッションを進めていく中でチーム間の絆が深まっていく。
テンションが上がったのはフロイド博士が前作で暴走し停止されてしまった宇宙船ディスカバリー号の人口知能コンピューターHAL9000を修理するために木星探索に同行させたチャンドラ博士の設定。彼はHAL9000の開発者であり、地上では女性のボイスを発する相棒SAL(サル)9000を使用している。
昔見たときは子供だったので意識していなかったが、フロイド博士はディスカバリー号の事故で部下を死なせてしまったことに責任を感じて原因の探求のためにソ連の船に乗り込んでまでして命がけの木星探索の旅に出かける。彼の時間は2001年の事故で止まってしまったのだ。
フロイド博士を木星探索の旅へ送り出す妻の心境は計り知れない。出発の4か月前に聞かされ、まだ幼い息子と二人で帰ってこれるか分からない夫を何年も待たなければならないのだ。
CGが全盛の時代ではないのでミニチュアや実際の宇宙船のセットやブルーバックの合成を使った特撮が素晴らしい。特典映像にはアーサー・C・クラークやシド・ミードなどが登場し解説しており、ミニチュアを使っての特撮など特典を見ているだけでも幸せな気分になる。
監督のピーター・ハイアムズはこの続編に執心で、アーサー・C・クラークとパソコンのみのコミュニケーションで意見をかわし、前作の監督スタンリー・キューブリックとも接触を続けた。
出演者・スタッフ
・主演のフロイド博士役はロイ・シャイダー。『ジョーズ(1975)』『ブルーサンダー(1983)』などに出演。 吹替は羽佐間道夫。
・カーノウ博士役はジョン・リスゴー。『愛のメモリー(1976)』『ミッドナイト・クロス(1986)』などブライアン・デ・パルマ作品の常連。吹替は千田光男
・HAL9000の開発者チャンドラ博士役はボブ・バラバン。吹替は富山敬
・ソ連のレオーノフ号のカーバック船長はヘレン・ミレン。吹替は弥永和子
・『2001年宇宙への旅』に引き続きボーマン船長役のキア・デュリアの出演が嬉しい。
監督・脚本・制作は幅の広いジャンルを手がける職人監督のピーター・ハイアムズ。
代表作は『破壊!(1974)』『カプリコン1(1977)』『アウトランド(1981)』
『ドラキュリアン(1987)』など。
特殊効果にリチャード・エドランド、メカニックなどのビジュアルデザインにシド・ミードが関わっている。
最後に
劇場で子供の頃見たが宇宙の映像以外はさほどストーリーに面白さを感じなかった。しかし、大人になって見ると冷戦時代の中での平和に向けてのメッセージが強くこめられていることを感じた。
また、人口知能についての問いかけもあり、人間と同じレベルで思考するコンピュータHAL9000とチャンドラ博士と最後の脱出をかけてのかけひきではHAL9000が一人の人格として考えつつ応対する姿に泣けてきた。
前作『2001年宇宙への旅』が話題になりすぎたため、影のようであまり話題にならなかった気がする作品だが自分は楽しめた。理系人間(精密機械工学出身でIT業界の仕事)なので実用的にデザインされた宇宙船や船内の機械を見ているだけで至福の時間だった。
木星をバックに勇壮に進むレオーノフ号は恰好良く再び劇場の大スクリーンで見てみたい。
また、原作もいつかは読んでみたいと思っている。ともう何年も前から言っている気がするが・・
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