低予算映画の帝王と呼ばれ、フランシス・フォード・コッポラやマーティン・スコセッシなど数多くの著名映画人を指導してきたアメリカの映画監督でプロデューサーであるロジャー・コーマン
『デス・レース2000年』などの関連作品一覧と作品について、所持している映画宣材を用いて紹介する。
ロジャー・コーマン
1926年4月5日ミシガン州デトロイト生まれ。
スタンフォード大学で工学を学ぶも、映画への情熱が次第に増していった。
英国のオックスフォード大学で英文学を1年間学び、そのあとはヨーロッパ中を1年間飛び回り、脚本家・プロデューサーを目指して米国へ戻る。
やがて少しの資本をかき集めて、アメリカンインターナショナルピクチャーズ(AIP)を立ち上げる。
正式な映画撮影のトレーニングは受けずに「あらくれ五人拳銃」で監督デビュー。
そのあと15年間でAIP向けに48本の映画を監督する。
彼は凄い早撮りで「リトルショップオブホラーズ」を2日間+夜で撮影している。
また、1960年代初め、野心的に『アッシャー家の惨劇 』、『恐怖の振り子』などエドガー・アラン・ポーの作品を多く手がけ、主にヴィンセント・プライスを主役に撮影する。
AIPが彼の手を離れ、勝手な編集をするようになり、決別することになる。
ロジャー・コーマンは1970年、ニューワールド・ピクチャーズを設立(1983年に売却)。
若者向けのエクスプロイテーション映画を製作するほか、世界中から著名なアートシネマを配給し、イングマールベルイマン、黒澤明、フェデリコフェリーニ、フランソワトリュフォーなどの映画を配給した。
彼が指導したのは、フランシス・フォード・コッポラ、ロン・ハワード、マーティン・スコセッシ、ジャック・ニコルソン、ジョナサン・デミ、デニス・ホッパー、ジェームズ・キャメロン、ロバート・デ・ニーロ、ピーター・ボグダノビッチ、ジョー・ダンテなど多数の著名な映画人である。
2009年、アカデミー賞の生涯功労賞を受賞した。
主な監督、製作作品
海底からのモンスター(1954)
女囚大脱走 (1955)
百万の眼を持つ刺客(1955)製作
荒野の待伏せ (1955)
悪魔と魔女の世界 (1956)
金星人地球を征服 (1956)
原子怪獣と裸女 (1956)
早射ち女拳銃 (1956)
オクラホマの夜(1956)
女バイキングと大海獣 (1957)
鮫の呪い (1957)
ハワイの雷鳴(1957)
巨大カニ怪獣の襲撃 (1957)
ごろつき酒場 (1957)
吸血鬼ヒルゴンの逆襲(1958)製作
暗黒街の掟 (1958)
恐怖の獣人 (1958)
機関銃ケリー (1958)
人工衛星戦争(1958)
血のバケツ (1959)
リトル・ショップ・オブ・ホラーズ (1960)
蜂女の実験室 (1960)
地球最後の女 アイ・アム・ウーマン・オブ・レジェンド (1960)
アッシャー家の惨劇 (1960)
アトラス(1961)
恐怖の振子 (1961)
呪われた海の怪物(1961)
恐怖のロンドン塔 (1962)
侵入者 (1962)
姦婦の生き埋葬 (1962)
黒猫の怨霊 (1962)
死霊の棲む館(ディメンシャ13)(1963)製作
X線の眼を持つ男 (1963)
ヤングレーサー (1963)
怪談呪いの霊魂 (1963)
忍者と悪女 (1963)
古城の亡霊 (1963)
黒猫の棲む館 (1964)
赤死病の仮面 (1964)
侵略戦線 (1964)
リージアの墓(1965)
ワイルド・エンジェル (1966)
白昼の幻想 (1967)
聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ (1967)
殺人者はライフルを持っている(1968)製作
ターゲット・ハリー (1968)
ダンウィッチの怪(1970)製作
血まみれギャングママ (1970)
ガス! (1970)
レッド・バロン (1971)
明日に処刑を・・(1972)製作
ビッグ・バット・ママ(1974)製作
コック・ファイター(1974)製作
デス・レース2000年(1975)製作
怒りの山河(1976)製作
モンスター・パニック(1980)製作
宇宙の七人(1980)製作
ギャラクシー・オブ・テラー(1981)製作
禁断の惑星エグザビア(1982)製作
スペース・レイダース(1983)製作
ビッグ・バッド・ママ2(1987)製作
ザ・ネスト(1987)製作
フランケンシュタイン/禁断の時空 (1990)
ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション(2003)
アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー(2014)
デス・レース2050(2016)製作
他多数
ドキュメンタリー
「コーマン帝国」
おすすめ本
『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか ロジャー・コーマン自伝』:早川書房
最後に
『デス・レース2000年』などの関連作品一覧と作品について、所持している映画宣材を用いて紹介した。
自分たちにとって好物のB級エクスプロイテーション映画を作り続け、しかも利益を出しつつ、いまでも映画製作を続けているロジャー・コーマンは世界一の映画マンだと私は思う。アカデミー賞の生涯功労賞の受賞は嬉しかった。
ロジャー・コーマン本人が書いている『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり~』は名著なので、興味がある方はご一読をおすすめする。
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