狼は天使の匂い(1972)

ポイント

・不思議の国のアリスを彷彿させるファンタジー要素あり
・血のつながらない集まりの中で家族の絆が出来る。
・後年の監督、俳優に影響を与えたカルト映画

<あらすじ>

不慮の自分の操縦でヘリが墜落し事故でジプシーの子供を死なせてしまった男トニー。ジプシーの掟により彼を追う男たち。
追手からの逃避行の末にトニーが逃げ込んだ先はならず者たちのアジトだった。

そのアジトには、みな血のつながらないお互いに本名も知らない中でリーダーで家長のチャーリーを中心に家族のような絆をはぐくんでいた。しだいにトニーも心通わせていく。

やがて、チャーリーはかねてからの大仕事にとりかかることになる・・。

<作品について>

冒頭で少年がイジメグループから追われ、他のグループに助けを求めるシーンがある。
その際に少年が持った袋いっぱいのビー玉がこぼれ落ちる。
このシーンが本編にリンクしているのがファンタージーっぽい。

また、ところどころにチェシャ猫の絵が登場し不思議の国のアリスを思わせるシーンあり。
アジトのメンバーの名前について。特に二人の女性シュガー(砂糖)やペッパー(胡椒)など本名ではない愛称で呼ばれている。主人公もここではフロッギー(カエル?)と呼ばれることになる。名前も知らない、血もつながっていない間柄だが、家長であるチャーリーを中心に疑似家族を形成している。
このコミュニティの二人の女性に愛される主人公はもてすぎな気もする。

タイトルのイメージからはぐれもののギャング・アクション映画だと思って見始めたが、違った。

香港の監督ジョニー・トーの作品も本作の影響を色濃く受け継いでいるのを感じる。

『禁じられた遊び(1952)』『太陽がいっぱい(1960)』のルネ・クレマン監督作品。

主人公トニー役は『殺しが静かにやってくる(1968)』でしゃべらない主人公を演じたジャン=ルイ・トランティニャン。
リーダーのチャーリー役は『ワイルドバンチ(1969)』のロバート・ライアン。
『サンゲリア(1979)』のティサ・ファローの出演も嬉しい。

 

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