デビッド・クローネンバーグの「シーバース」や、ジョージ・A・ロメロの「ザ・クレイジーズ」、「処刑軍団ザップ」と出演作はさほど多くないにも関わらず、妖精のような儚げな美少女の役でホラー映画に登場し印象を残す女優リン・ローリーについて紹介する。
本記事を読むことで、女優リン・ローリーについてかんたんなプロフィールと映画宣材での出演作について知ることが出来る。(2021/10/15昨年の記事に加筆)
いまや希少かも。『処刑軍団ザップ』のチラシ。でのリン・ローリィ
リン・ローリー(Linda Kay “Lynn” Lowry)
1949年10月15日イリノイ州セントルイス生まれ。
1966年ジョージア大学に奨学金で入学し演劇を学んだ。
またアトランタプレイボーイクラブでプレイボーイバニーとして働き息子を出産する。
1969年息子と一緒にニューヨークへ引っ越し、演劇のオーディションを受けながらバーテンダーとして働く。
1970年のオーディションで「悪魔の毒々モンスター」で有名なトロマ映画の総帥ロイド・カウフマンと出会い映画の役をもらい出演する。
同年「処刑軍団ザップ」に出演。
その後、ジョージ・A・ロメロの「ザ・クレイジーズ」、デビッド・クローネンバーグの「シーバース」などカルトホラー映画に出演することになる。
また、「羊たちの沈黙」で有名になったジョナサン・デミ監督の「怒りの山河(1976)」、ナスターシャ・キンスキー主演「キャット・ピープル(1982)」にも出演している。
「キャット・ピープル」の後はハリウッドにうんざりし、演劇の方に専念することになる。
2010年「ザ・クレイジーズ」のリメイクにカメオ出演をしている。
儚い美少女で、話の途中から気がおかしくなっていまう役が多い。
閉館してしまった渋谷シアターNで上映された『ザ・クレイジーズ』のチラシ
また、ツイッターユーザーでもあり、目にとまると日本人でもフォローしてくる気さくな方。
公式サイトもあったのだが最近は消してしまったようだ。
出演作で私が一番好きなのはデビッド・クローネンバーグ監督の『シーバース(1975)』。
日本国内でDVDは発売されているがブルーレイは未発売(だったが2021年2月にキングレコードよりブルーレイの発売が決定!)。海外ARROW版のブルーレイも買ったので少し紹介する。
シーバース
あらすじ
医療設備やプールな必要な施設が全て配備された郊外の島にあるリゾートマンション。多くの住人が越してきた。
しかし、ここでは暴力衝動など人を欲望のままに変貌させてしまう寄生生物が増殖していたのだ・・・
作品について
デビッド・クローネンバーグ作品で最初に見たのは『ヴィデオ・ドローム(1982)』である。
中学生当時、友人が輸入レンタル専門店で借りてきたのだ。その背徳の内容の魅力にはまってしまいVHSを借りてみたのがこの『シーバース』である。
本作はさながらゾンビウィルスのように、リゾートマンション内で寄生生物を介してパンデミックが広がっていく。
寄生された人間は理性がなくなり、暴力行為など本能のおもむくままに行動をしはじめる。
寄生されたものたちと寄生されてない人たちとの攻防戦がまさにゾンビと人間の戦いのような展開になるのだが、寄生されたものたちの方が悩み事などから解放されて楽しそうに見えお仲間に入りたくなる気がするのも背徳感がある。
人類が別の生物に進化するというテーマはクローネンバーグ監督の他の作品にもぶれなく何度も描かれている。
ジョー・ブラスコの特殊メイクは当時としては画期的な出来であった。
本作は『SF人喰い生物の島/謎の生命体大襲来』や『恐怖の人喰い生物』などのタイトルで日本語吹替でテレビ放送されていた時代もあった。
最後に
『シーバース』は日本国内ではDVDが出ているが、ブルーレイは発売されていない。
私はマグザムから発売されたDVDを持っているが特典は予告編とアスペクト比は4:3で特典はクローネンバーグ監督のインタビューが収録されている。
インタビューでは、いかに当時のカナダで映画を撮影するのが難しかったことなどが語られている。
新宿のビデオマーケットさんで、ARROWVIDEO版のブルーレイを入手することが出来たがアスペクト比が16:9のワイドとなっており、特典のドキュメンタリーが3種ついているという豪華仕様である。ぜひ、この内容で国内版ブルーレイが発売(できれば吹替も収録で)して欲しい。
※2021年2月10日にキングレコードより国内ブルーレイが発売されることが決定!(2020/11/24日追記)
↑ARROWVIDEOのブルーレイより。ジャケットがリバーシブルなのも嬉しい。
出演作品はさほど多くないが、か弱く守ってあげたくなる妖精のようなルックス。
そのためかホラー映画好きの中にもファンが多い。
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